リフォームや新築でトイレを新しく選ぶ際、デザインや機能に目を奪われがちですが、最も重要で、かつ失敗が許されないのが「排水形式」の確認です。これを間違えると、せっかく購入した便器が物理的に設置できないという事態に陥ります。トイレの排水には大きく分けて「床排水」と「壁排水」の二種類があります。戸建て住宅の多くは床に穴が開いている床排水ですが、マンションや一部のビルでは、壁の中に配管が通っている壁排水が採用されていることがよくあります。まずは自宅のトイレの配管がどこに向かって伸びているかを確認することが、トイレ選びのスタート地点です。さらに重要なのが「排水芯」という寸法です。床排水の場合、便器の後ろの壁から排水管の中心までの距離を指します。以前のトイレは排水芯が二百ミリメートルで統一されているものが多かったのですが、古い物件ではそれ以外の寸法も存在します。リフォーム専用のモデルでは、アジャスターを使用することで幅広い排水芯に対応できるようになっていますが、それでも限界があります。一方、壁排水の場合は、床から排水管の中心までの高さが重要になります。これらの寸法を正確に把握せずに製品を選んでしまうと、便器が壁にぶつかってしまったり、逆に壁との間に不自然な隙間ができてしまったりするだけでなく、排水管との接続が不完全になり、将来的な漏水や悪臭の原因にもなりかねません。また、排水方向だけでなく、室内のスペースと排水位置の関係も考慮する必要があります。例えば、タンクレストイレはコンパクトでスタイリッシュですが、排水管を移設できない場合、便器の位置が手前に出てきてしまい、かえってトイレ内が狭く感じられることもあります。排水の仕組みを理解することは、単に汚物を流すためだけではなく、トイレという空間をいかに快適にレイアウトするかという設計の根幹に関わる問題なのです。最近では、既存の排水管を動かさずに設置できる「リモデル便器」の種類も豊富になっています。最新の排水技術を享受しつつ、自分の住まいの構造に最適なモデルを見極めるためには、目に見えない配管の行方に思いを馳せることが欠かせません。
トイレ選びで失敗しないための排水芯と排水方向の知識