スマートフォンをトイレに落としてしまったという絶望的な状況から、愛するデバイスを救出するためには、その直後の冷静かつ迅速な応急処置が何よりも重要となります。パニックに陥り、誤った行動を取れば、本来助かるはずだった命を絶ってしまうことになりかねません。まず、便器からスマートフォンを救出したら、即座に電源を完全にオフにしてください。電源が入ったままであったり、スリープ状態であったりする場合は、電源ボタンを長押しして強制的にシャットダウンします。これは、内部の基板が濡れた状態で電流が流れることによるショートを防ぐための、最も重要な初動です。次に、乾いたタオルやキッチンペーパー、マイクロファイバークロスなどを使い、本体表面の水分を優しく、しかし徹底的に拭き取ります。この時、内部の水を排出しようと本体を激しく振るのは絶対にやめてください。水分が内部で拡散し、被害を拡大させるだけです。イヤホンジャックや充電ポート、スピーカーの穴など、細かい部分の水分は、ティッシュペーパーをこより状にして丁寧に吸い取ると効果的です。SIMカードトレイも必ず抜き取り、内部のスロット部分とSIMカード自体も慎重に拭き上げましょう。ケースやアクセサリー類は全て取り外し、本体を裸の状態にします。ここまでの応急処置を終えたら、次に行うのは徹底的な乾燥です。最も推奨される方法は、スマートフォン本体をジップロックのような密閉できる袋に入れ、シリカゲル(食品の乾燥剤)を大量に投入し、そのまま数日間放置することです。シリカゲルは非常に高い吸湿性を持ち、空気中の水分を強力に吸収してくれるため、内部の湿気を効率的に取り除くことができます。もしシリカゲルが手元にない場合は、生米で代用するという有名な方法もありますが、米の粉塵がポート類に入り込むリスクがあるため、あくまで次善の策と考えるべきです。この乾燥期間中は、決して電源を入れたり充電したりせず、ただひたすら我慢することが肝心です。最低でも24時間、できれば48時間から72時間は放置し、内部の水分が完全に蒸発するのを待ちます。この地道で忍耐強いプロセスこそが、トイレに落としたスマートフォンを復活させるための、唯一にして最大の鍵なのです。
トイレ水没スマホ復活の鍵は応急処Mと乾燥