蛇口がある日突然全く閉まらなくなることは、実はそれほど多くありません。その前段階として、蛇口は必ずと言っていいほど「助けてほしい」という小さなサインを出し続けています。このサインに気づき、適切なメンテナンスを行うことができれば、深夜の浸水パニックを経験せずに済みます。まず注目すべきは、ハンドルやレバーを操作する時の「重さ」や「手応え」の変化です。新品の時は滑らかに動いていたレバーが、いつの間にか引っかかるような感触になったり、下げる時に「ギギッ」という異音がしたりするのは、内部のグリスが流出し、部品同士が直接擦れ合っている証拠です。これはカートリッジの寿命が近づいている明確な警報です。次に、水を止めた後の「切れの悪さ」も重要なチェックポイントです。レバーを下げた後、三秒以上水が垂れ続けるようであれば、内部のバルブが完全に閉じ切っていない可能性があります。特に、一度レバーを下げてから再度ぐっと押し込まないと水が止まらないという状態は、末期症状の一つです。また、蛇口本体の付け根やレバーの隙間から常にじわじわと水が滲み出している場合、それは内部のOリングやパッキンの劣化を意味しており、それらが完全に破損すれば、操作に関わらず水が噴き出す事態に直結します。吐水口の先端に常に一滴の水がぶら下がっている「ポタポタ漏れ」も、決して侮ってはいけません。これらのサインを確認するために、一ヶ月に一度は「静寂の中での点検」を行うことをお勧めします。深夜などの静かな時間帯に、家中の蛇口を閉めた状態で耳を澄ませてみてください。どこからか微かな水の音が聞こえないか、あるいは水道メーターのパイロットが回っていないかを確認するのです。また、蛇口の吐水口付近を指で触ってみて、常に湿っていないかを確かめるのも有効です。蛇口が閉まらないというトラブルは、ある日突然の天災のように思えますが、実際には入居者の無関心が育てた人災である側面も否定できません。五感を使って設備の健康状態を確認し、違和感があればすぐに専門家に相談する。その習慣が、突然の水のトラブルからあなたの生活を守る強固な盾となるのです。
蛇口が閉まらない小さなサインを見逃さない方法