数多くの賃貸現場を渡り歩いてきた水道修理のプロとして断言できるのは、トイレの詰まりは「初期対応」がすべてであるということです。多くの入居者様は、詰まりを感じた瞬間に何度もレバーを回してしまいますが、これは火に油を注ぐ行為に他なりません。便器のキャパシティは限られており、二度目の洗浄水はほぼ確実に溢れ出します。賃貸物件では床下の防水処理が不十分なことも多いため、汚水が階下へ漏れれば、それは単なる修理案件ではなく、損害賠償を伴う事故へと発展します。私たちが現場に到着した際、最も困るのは、入居者様が市販のワイヤーブラシなどを無理に突っ込んで、異物をさらに奥の配管へ押し込んでしまっているケースです。特に最近の賃貸マンションに多い節水型トイレは、洗浄水の流れ方が特殊で、一度異物がトラップ(便器内の曲がり角)を越えてしまうと、便器を外さなければ除去できません。もしスマートフォンや検温計などの固形物を落としてしまった場合は、自力で解決しようとせず、すぐにプロを呼んでください。手を入れるのをためらって水を流すのが最悪の選択です。賃貸の場合、こうした過失による作業費用は入居者様負担となりますが、下手にいじって状況を悪化させるよりも、数千円の基本料金で済む段階で呼んでいただく方が、最終的な出費は抑えられます。また、管理会社指定の業者以外が作業することを禁止している物件もあるため、業者を呼ぶ前に必ず契約内容を確認するよう指導しています。現場で見かける詰まりの原因の意外な主役は、ペットのフンや猫砂です。たとえ「トイレに流せる」と表記されていても、それはあくまで一軒家の強力な排水システムを想定している場合が多く、集合住宅の複雑な配管には適さないことが多々あります。特に猫砂は水分を吸って固まる性質があるため、配管内でダムのように水を塞き止めてしまいます。こうしたケースでは、高圧洗浄機を使用しなければならず、作業代も高額になります。賃貸物件を快適に使い続けるためには、その建物の「排水能力」を過信せず、トイレはあくまで排泄物とトイレットペーパーのみを流す場所であると割り切ることが、無用なトラブルと出費を避けるためのプロからのアドバイスです。
プロが教える賃貸トイレ詰まりを深刻化させないための心得