ある日突然お湯が出なくなった私の体験記
それは凍えるように寒い冬の日の夜でした。仕事で冷え切った体を温めようと、一目散に浴室へ向かい、シャワーの蛇口をひねりました。しかし、いつまで待っても出てくるのは、心まで凍らせるような冷たい水だけ。最初は「給湯器が作動するまで時間がかかっているのかな」と楽観的に考えていましたが、数分経っても状況は一向に変わりませんでした。キッチンからもお湯が出ないことを確認し、原因が給湯器にあることは明らかでした。真っ暗なベランダに出て、懐中電灯で給湯器のリモコンを見ると、そこには「111」という見慣れないエラーコードが点滅していました。すぐにスマートフォンで検索すると、「点火不良」を意味するエラーであることが判明。取扱説明書にあった通り、何度か電源のオンオフを繰り返してみましたが、エラーは消えません。ガスメーターも確認しましたが、止まってはいませんでした。万策尽きた私は、完全に途方に暮れてしまいました。その日はお湯を沸かして体を拭くだけで我慢し、翌朝一番で契約しているガス会社に連絡しました。駆けつけてくれた作業員の方の診断は、経年劣化による点火装置の故障。我が家の給湯器は設置から十二年が経過しており、寿命を迎えていたのです。修理も可能だが、他の部品もいつ壊れるか分からないと説明を受け、私は新しい給湯器への交換を決意しました。予期せぬ大きな出費は痛かったですが、新しい給湯器が設置され、再び温かいお湯がシャワーから勢いよく出てきた時の感動と安心感は、今でも忘れられません。この一件以来、私は家電にも寿命があるという当たり前の事実を痛感し、定期的な点検の重要性を身をもって知ることになりました。