トイレの水が溜まるスピードが日に日に遅くなり、ついにはほとんど水が出なくなってしまった。タンクの中を覗いても、特に部品が壊れている様子はない。このような場合、多くの人が見落としてしまう意外な場所に、トラブルの原因が潜んでいることがあります。それは、給水管とトイレタンクを接続している部分に設置されている「ストレーナー」、すなわち給水フィルターの目詰まりです。ストレーナーは、水道本管から送られてくる水に含まれている可能性のある、微細な砂やゴミ、あるいは古い水道管から剥がれた錆の粒子などが、ボールタップのようなトイレタンク内部の精密な装置に侵入し、故障を引き起こすのを防ぐための重要な役割を持っています。いわば、トイレの給水システムの関所のような存在です。しかし、その役割ゆえに、長年の使用によってフィルターの網目自体にこれらの不純物がびっしりと蓄積し、水の通り道を完全に塞いでしまうことがあるのです。これは、あたかも人体の血管にコレステロールが溜まって血流が悪くなる、動脈硬化のような状態と非常によく似ています。水の供給量が極端に減るため、タンクが満水になるまでに十分以上の時間がかかるようになり、最終的にはほとんど水が供給されなくなるという事態に至ります。この問題の厄介な点は、ストレーナーが通常、タンクの外の目立たない場所や、ボールタップの内部に組み込まれているため、その存在自体を知らない人が多く、原因として思い至りにくいことです。もし、水が溜まるのが遅いと感じたら、専門業者を呼ぶ前に、まずこのストレーナーの清掃を試してみる価値は十分にあります。トイレの止水栓を固く閉めた後、モンキーレンチなどの工具を使って給水管の接続ナットを慎重に緩めると、ストレーナーを取り出すことができます。それを古い歯ブラシなどで丁寧に水洗いするだけで、詰まりが解消され、嘘のように水の供給が回復することも少なくありません。
意外な盲点トイレ給水フィルターの詰まり